フロントエンドエンジニアの仕事内容と聞くと、単純にHTMLやCSS、JavaScriptを使ったコーディングをイメージする方が多いかもしれません。
しかし実際の業務内容はそれ以上に広範囲にわたりコーディングにとどまりません。
今回はフロントエンドエンジニアが日々取り組んでいる仕事内容や現場で求められる責任範囲について具体的な事例を交えながら解説します。
目次
フロントエンドエンジニアのリアルな業務内容と現場で求められる役割
フロントエンドエンジニアの役割は、プロジェクトの性質やチーム構成によって大きく異なるため、それぞれの状況に応じた柔軟な対応が求められます。
実装に専念できるプロジェクトもあれば、要件定義や設計といった上流工程から深く関わるプロジェクトもあります。
またその役割はフロントエンドエンジニア全体で分担する場合もあれば、リーダーや他の担当者に割り振られることもあり、チーム内の役職や割り振りによって変動することが多いです。
私自身が経験したフロントエンドエンジニアのリアルな業務内容と役割をリスト形式で詳しくご紹介します。
プロジェクトによっては、この記事で紹介する業務以外を担当する場合もありますし、すべてがフロントエンドエンジニアの役割に該当するわけではないことを頭に入れておいてください。
要件定義
プロジェクトの規模が大きかったり複雑な機能を実装する場合、フロントエンドエンジニアが要件定義の段階から入ることがあります。
新しい機能やUI(ユーザーインターフェース)の導入において、ユーザーにとって使いやすいか、また技術的に実現可能かを判断するために、プロジェクトマネージャーやディレクターとのミーティングに参加することもあります。
ここではパフォーマンス最適化やUX(ユーザー体験)の向上を目指し、インターフェース設計や技術要件について意見を交換します。
要件が曖昧な場合は具体的な仕様を詰める作業も重要で、ユーザーにとって快適で直感的なUIを提供するためには詳細な要件定義が不可欠です。
技術調査
新しい技術やツールをプロジェクトに導入する際には、その技術がパフォーマンス最適化やモバイル対応など現場の要件に適しているかを評価します。
特にフロントエンドのフレームワークやライブラリ(React、Vue.jsなど)の導入時にはクロスブラウザ対応や他システムとの互換性も慎重に検討します。
導入後のセキュリティ対策や学習コストを考慮し、チーム全体が理解できるか、必要なリソースが確保できるかどうかも判断します。
調査が終わり次第、調査内容をまとめプロジェクトマネージャーやディレクターに報告し、どう進めていくか判断を仰ぎます。
工数見積もりと影響範囲の洗い出し
要件が決まった後は開発スケジュールやリソース割り当てに基づいた工数見積もりを行います。
エンジニアがあまり意識することではないですが、工数が増えればその分予算も増加します。
正確な見積もりを行うことがプロジェクト全体のリスク管理にも繋がり、リソースの過不足を防ぐためにも重要です。
無理に工数を減らすのではなく、適切な工数を割り当てることが大切です。
さらに新しい機能や変更が既存システムに与える影響や、その影響範囲を慎重に調査することも重要です。
たとえば既存機能に新しい機能を追加する際、その変更がシステム全体にどのように波及するかをしっかりと把握する必要があります。
また作業箇所が他の案件と重なる場合は、コンフリクトの可能性があるため取り込み順やリリース順を確認し、より慎重に進めることが求められます。
コーディング
フロントエンドエンジニアのタスクの中心にはコーディングがあります。HTML、CSS、JavaScriptを使って、要件定義書や仕様書に基づき正確に実装していきます。
チーム開発ではファイル名やコメント、インデントなど統一されたコーディングスタイルとルールを守ることが他の開発者にも理解しやすく、効率的な作業進行に繋がります。
また見た目だけでなくページのパフォーマンスやユーザビリティ、SEOを意識した実装も求められます。
ページ読み込み速度の最適化やスマホ対応のレスポンシブデザインもコーディングに含まれる重要な要素です。
コーディング中に要件が曖昧な箇所が出てくることがあります。
その際はデザイナーやバックエンドエンジニア、ディレクターと連携し、仕様を確認・調整していく必要があります。
コーディングが終わったら仕様通りに実装できているか、ミスがないかを丁寧に確認しましょう。
多くの現場ではコードレビューやブラウザ確認によるダブルチェック体制が敷かれているため、他のメンバーに確認してもらうことも重要です。
フローに従って進め、期日内に実装を完了させるよう心がけましょう。
納品
実装が完了したらバックエンドエンジニアが裏側の実装を進められるよう、フロントエンドの成果物を納品します。
納品の際にはプロジェクトごとに定められたフォーマットがあるためそれに従って適切に行いましょう。
納品時には単にコードを渡すだけでなく、依存ライブラリや特定のブラウザ対応など実装上の注意点を丁寧に説明し、具体的なメモを添えるとバックエンドエンジニアに喜ばれます。
結合テスト
バックエンドエンジニアの実装が完了した後は正しく機能しているかを確認するために、フロントエンドとバックエンドで統合テストを行います。
データのやり取りが正確に行われているか、APIが期待通りのレスポンスを返しているか等を確認します。
デザインが仕様通りに再現されているか、表示が崩れていないかもチェックします。
結合テストは単に機能が動くだけでなく、ユーザーが実際に利用する際の操作性や表示内容が問題なく実装されているかを確かめる重要なステップです。
リリース前にチーム全体で確認をしっかり行うことで不具合を未然に防ぎ、安定したサービスを提供することが可能になります。
リリース作業
多くの場合フロントエンドエンジニアはリリース作業に直接関与しないことが一般的です。
しかしバックエンドが関わらない案件や小規模なプロジェクトでは、フロントエンドエンジニアがリリース作業を担当するケースもあります。
またサービスをなるべく止めずにリリースするために夜間にリリースが行われる場合があります。
その際はフロントエンドエンジニアも待機し必要に応じて対応することがあります。
これはリリース後の即時チェックや、万が一のトラブル対応を迅速に行うためです。
夜間待機や夜勤対応が発生した場合は朝に帰れるので少し優越感に浸れます笑
リリースが完了した後は全てのメンバーがシステムやサイトの動作を確認し、問題がないかをチェックします。
フロントエンドに限らずチーム全体での最終確認を行うことで、安定した運用を確実にすることができます。
運営・保守
Webサイトやサービスを運用しているとどんなに注意深く開発してもバグが発生してしまうことがあります。
万が一不具合が発生してしまった場合、まずはそのバグの原因を調査し対応する必要があります。
修正後には再度テストを行って問題が解消されているか確認します。
またバグ以外にも時には機能の改善やユーザーからのフィードバックに応じて修正を加えることも運用・保守の重要な業務です。
チーム全体で迅速かつ正確に対応することで、サイトやサービスの品質を保つことができます。
フロントエンドエンジニアの日常業務
フロントエンドエンジニアには案件以外でも常日頃からやる業務が多々あります。
まず実装や仕様変更に応じてドキュメントを正確に更新することが不可欠です。
最新の情報を反映したドキュメントは、チームメンバーや将来的にプロジェクトに関わる開発者がスムーズに作業を進めるために重要であり、保守や新機能追加時にも役立ちます。
また、他のフロントエンドエンジニアが実装したコードのレビューも欠かせないプロセスです。
コードレビューを通じて品質やパフォーマンスの確認を行い、ブラウザ上での動作確認を経て実装が期待通りに機能するかをチェックします。
さらに、フロントエンドではモジュールやライブラリの管理・アップデートも重要です。
開発環境の整備とともにこれらのツールを最新の状態に保つことで、セキュリティやパフォーマンスの向上を図りプロジェクト全体の安定性を維持します。
時には自分の作業やプロジェクト全体を振り返り、改善点や効率化の方法を見つけることも大切です。 これにより常に高品質な成果物を提供し、自身の成長にも繋がります。
日常業務は案件対応に追われると時間が取れずなかなか取り組めないこともあります。
うまく時間を調整しながら、計画的に進める工夫をして取り組みましょう。
まとめ
フロントエンドエンジニアの仕事は、プロジェクトの規模やチーム体制によって大きく異なることを理解していただけたと思います。
コーディングに専念できるプロジェクトもあれば技術調査やUI/UX設計、工数見積もりなど、上流工程から関わることを求められるケースも少なくありません。
またコーディング後には結合テストや運用・保守など、バックエンドエンジニアや他のチームメンバーとの連携が不可欠です。
フロントエンドエンジニアは技術だけでなく、チームとのコミュニケーションや協調性が求められる場面も多いので円滑な情報共有を心がけましょう
さらに、フロントエンドエンジニア内部の日常業務も忘れてはいけません。
案件に追われると後回しにされがちですが、ドキュメントの更新やコードレビューなど、日々の細かな業務がプロジェクト全体の品質を左右します。
高品質な成果物を生み出すために、日々の作業をしっかりとこなしていくことが重要です。
日々の業務をしっかりとこなし、プロジェクトの成功に貢献しましょう!